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母親賛歌

2015.09.03 (Thu)

8月、お盆は亡き人の魂に向き合う月だ。
親を送るという避けられない宿命は、悲しみと幸せの両方が胸にあふれてくる。
生前の母をグループホームに訪ねた時、今食べたことを忘れているのに帰り際には必ず「気をつけてお帰りよ」と私を心配した。
最後までやっぱり私の母だった。
我が家の菜園で育ち過ぎの巨大キュウリを「駄目だな」と捨てようとした時、ほんのりと鼻に抜けた青い匂い。
母のキュウリもみを思った。
さじで種を除き、薄切りにして塩をひと振り、ぎゅぎゅっともんで甘酢であえる。
ギンギラ太陽に立ち向かう味。
私の中に母がいた。
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18:09  |  未分類

2015年毎日はがき随筆文学賞「匂いの記憶」

2015.09.03 (Thu)

母の夢を見た。

夏のあさぎ色のワンピース姿は若く、私と妹を両脇にして笑っている。
昼寝の起き抜け顔に「ゴザの跡が付いている」と妹にからかわれて気弱く、母に駆け寄り顔を埋めた。
ワンピース越しの柔らかな息遣いと共に、ふわっといい匂いでなでられた感覚。
幼心は不思議な魔法にかかったように安らいだ。
母の香りは化粧の匂い。
常に子供の頃はそばにあり、落ち着けた気がする。

母は3年前、老いて力尽きた。
形見の一つの鏡台は喪失感で触れずにいた。
が、やっと最近開けてみると粉おしろいがそのままに。
一瞬にして、あの夏がよみがえった。
18:04  |  毎日新聞掲載
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